マーチンゲール法は名前を聞いたことがなくても、ギャンブルをしたことがある人であれば誰でも一度は思いついたことがある非常にポピュラーな手法のことです。
やり方は簡単で賭け金が二倍になるゲームで負けたら賭け金を倍にして、勝つまで続ける方法となります。
勝てばそれまでの負けを取り返すことができ、大きな連敗は滅多に起きないという理論のもと、高い勝率を期待することができます。
実際に勝率が五分五分であれば破産するまで連敗をすることは滅多にないので、一回あたりの勝率に関しては非常に高いものとなっています。
これだけ見ればマーチンゲール法は優れた手法に思えますが、実際にはそうではなく極めてリスクの高い方法で小さなリターンしか取れない方法であるため注意が必要です。
負けたら賭け金を倍にしていくため、少し連敗が続けば賭け金がすぐに膨れ上がり、賭け金が大きくなっても返ってくる金額は変わりません。
それまで多額の出費が存在しているので、大きく戻ってくるように見えて最初の賭け金分の利益しかでないためです。
たった一回だけ勝つことができればいいと考えるのであれば、マーチンゲール法はほぼ目的を達成することができますが、もしも上手く行かなかった場合には取り返しがつかないほどの損失を出してしまいます。
目先の勝率が高いために必勝法とされることが多いのですが、現実はいつか大きな破滅が待っている必敗法となっているので注意しなければなりません。
そして、マーチンゲール法が理論の通りに機能しない、もう一つ大きな理由があるので、それも合わせて覚えておく必要があります。
マーチンゲール法は無尽蔵な資金があり、相手が常に賭けを受け入れてくれる場合においては負けることはありません。
どれだけ連敗が続こうとも資金が無限にあるわけですから、勝つまで続ければいいためです。
現実的にはそもそも無尽蔵な資金があるわけがありませんし、もう一つの問題が相手が賭けを受け入れてくれるとは限らないためです。
賭けを受け入れる側としては、際限なく受け続ければ必ず自分が負けてしまいますから、いつまでも受け続けるということはありません。
どこかで上限を設けてそれ以上の賭けを受け付けてくれなくなるので、ある段階に到達すると賭け金を倍にして負けを取り返すことができなくなってしまうのです。
上限というのも長く続けて行くのであれば、すぐに到達してしまう程度のものなので、何度も繰り返していれば遠くない将来にいつか引っかかってしまいます。
10連敗をする確率は勝率が5割だとして1024回に1回ですから、滅多に起こらないことのように思えます。
しかし、毎回毎回賭け金倍にして賭けていくという方法を取っていれば、そこまで低い確率ではありません。
一回の利益が極小の方法なので納得できる利益を得るためには、必然的に回数を重ねることになり、回数が重なれば1024分の1程度のことであれば、それなりに起こりうる確率となってしまいます。
たった一回のマーチンゲール法で負けてしまうのは余程運が悪かったと言えますが、繰り返しているうちに負けるのは必然となります。
交通量の多い信号のない道路を横断してもひかれてしまう可能性はそれほど多くなくても、何度も渡っていればいつかは事故に巻き込まれてしまうのと同じことです。
目先の勝率で考えれば優秀な方法に見えますが、冷静に考えてみれば極小のリターンを極大のリスクで取りに行っているに過ぎませんから、熱くなったときに取り戻そうとして賭け金を倍にするのは御法度です。
方法としてこのようなやり方もあると知っておくのは良いのですが、それを実際に試して見ようと考えるのは止めましょう。